般若心経は世間に最も広まったお経のひとつです。
『般若経』にふくまれる代表的なお経で、正式には『摩訶般波羅蜜多心経』といい、真言密教では「智慧の真言」として
重要視されています。
般若心経の原典は何種類もあり、漢訳も多くあります。
般若訳、法月訳、鳩摩羅什訳、玄奘訳など、現存するものだけでも7種類あります。
現在、日本で用いられているのは玄奘訳のものです。
この般若心経は、大乗仏教の根幹をなす経典であり、日本には古くから伝えられています。
天台宗、真言宗、浄土宗、臨済宗、曹洞宗など多くの宗派で読まれているお経なので、耳にしたことがあり人も多いでしょう。
「摩訶」とは、たくさんとか大きい、優れているという意味で、「般若」とは迷いや煩悩を断じて、一切の事物・事象の
道理を明らかに覚知する深い智慧のことです。
「波羅蜜多」とは、迷いと苦しみの此岸から涅槃の彼岸へ至ること、またその完成・到達を意味し、転じて絶対・完全の
意味を持ちます。
通常は、菩薩が悟りに至るための修行をさします。
つまり、「大いなる悟りを得るための智慧の修行」ということになります。
きわめて短いお経である般若心経に何が説かれているのかといえば、『色即是空・空即是色』という有名な言葉にあるように
『空(くう)』の思想です。
『空』とは、サンスクリット語では、うつろ、ふくれたもので中がない状態をいいます。
そこから、この世の一切のものには固定的、実体的な我や自性などというものはないということで、有に対する非有に意味に
なります。
それは、一切のものは有であるという執着・妄見を否定することから出た概念で、虚無とは異なります。
したがって、空に対する執着も排斥されます。
少し難しくなりますが、この世の一切の現象は、因(直接の原因)と縁(間接の原因)が和合して生滅をくり返すという
わけで、どんなものも固定的な実体はないというのが「空」のとらえ方です。
つまり「色」とはかたちある物という意味ですが、それも実は因と縁から成り立っているものなのです。
したがって固定的実体はなく、「空」なのです。
この世のものは「空」=無常(常に生減変化して移り変わること)、無我であるにもかかわらず、私たちは、たとえば自分や
自分の家族、財産や若さなどといったものに執着します。
執着したり、とらわれるところから迷いや悩み、苦しみが生じてきます。
『般若心経』から、この世の全てのものは『空』だととらえ、執着やとらわれから離れることが悩みや苦しみから解放される
道であり、そこに気づくことが『般若』、つまり智慧であるということなのです。
少し難しい説明ではありますが、上にあげたことを、あたまに入れていただくことで、よくわからなかったお経を身近なもの
に感じることが出来ると思います。
また、お経に興味を持つことで、お坊さんと接するきっかけになれば幸いです。
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